奇跡のバックホーム
広島3連戦はコロナ禍のため中止。奇跡のバックホームを読んだ。
横田慎太郎の著書。
引退の原因となる脳腫瘍の闘病生活から、引退試合までが克明に描かれるとともに、横田の子ども時代からの真っ直ぐな野球人生が語られる。
書店では野球コーナーに置かれているが、単なる野球の本ではなく、闘病記でもない。
親子の物語だろうか、野球少年と母親。元プロ野球選手の父と息子。姉を含めた家族の物語かと。
手術後、横田の視力が回復しない間、そばで看病、世話する母には悲壮感はなく、明るく行動的だ。対して口数の少ない父親は抗がん剤治療で頭の毛が抜けると坊主にしてやってくる。
阪神の物語でもある。
九州担当スカウトの田中秀太が発病を知って横田と会う場面、プロ野球人生の終わりを決断する場面は、泣けてしょうがない。
監督やチームメイトとのやりとりも阪神ファンなら感動したり、おもしろかったり。監督だった頃の金本や掛布、矢野、平田。
金本が寿司を差し入れし、肉が良かったという横田の天然息子ぶり、金本はすぐにステーキ弁当を差し入れたという、そんな金本との関係性も笑ってしまうし、
平田2軍監督が引退試合で、横田がライトを希望するところ、センターを練習させたエピソードも平田らしくて好きだ。
引退試合のベンチ裏で鳥谷が野球の神様がいるんだな、と言った話もトリらしい。
横田父が掛布に教わっている慎太郎を羨ましがるところもおかしいし、落合に貰ったバットケースで虎風荘へ入寮したというエピソードも野球ファンのハートをくすぐる。
阪神愛と野球愛にも満ちた本でもある。
すべての阪神ファン、野球ファンに読んで欲しいし、すべての父親にも読んで欲しい。
小学校、中学校、高校の図書室にも入れて欲しいな。
できれば野球が盛んな海外でも読まれればいいな、横田のバックホームの映像で見られるようにしてさ。
そして、これから阪神に入ってくるプレーヤーにも読んで欲しい。
すべての阪神ファンへ